従業員を雇用するという事
よく従業員は家族同様という経営者はいる。
それが本心なのか綺麗事なのかは経営者次第だが、おそらくはその通りだろう。
自分のビジネスに賛同して入社した従業員を責任もって生活出来る給料を確保し続けなければならない。
企業のTOPは、会社を継続的に発展させる義務を負う。
従業員が長く務める事で、その家族も増えたり、成長したりする為に、昇給も考えなければならない。
昇給となる為には売上の拡大が必須条件であり、それも仕事量を増やさずに出来れば理想的である。
そう考えた場合、利益を十分確保した商品やサービスを拡販していく必要がある。
しかし、その製品価値やサービスが競争にさらされてしまえば値崩れを起こし、薄利多売をしなければならない状況となる。
従業員を抱えている以上、確保しなければならない売上の最低ラインは、利益率を落としながらでも必達しなければならなくなるのである。
そうなると、仕事量が増えてくる。
仕事が増えたからと新たな人員確保をしてしまえば、また苦しくなるのがオチ。
だから経営者は利益を確保できる戦略を立てなければならない。
既存の市場や製品やサービスに頼ったままの経営戦略では、このようなスパイラルに陥るのは目に見えてしまう。
これを経営者と従業員の関係として考えた場合、お互いが重荷となってくるのではないだろうか。
まさに結婚生活が破たんするかのような現象である。
旦那の稼ぎが悪いから生活が出来ないと嘆く主婦。
家族の為に一生懸命働いているのにと恩着せがましくなる夫。
経営者は、従業員の為に売り上げ計画を多少無理があってもやり遂げなければならないと考え、従業員は経営者が悪いからどんどん会社が悪くなってくると考えてしまう。
こうなると従業員と経営者の信頼関係が無くなってしまい、従業員はモチベーションの低下になっていくのである。
モチベーションをあげろと言われて上がるものでは無く、強制や義務感だけが募ってしまうのではないだろうか。
全ての事において、上手く行くためには『安定』が必須条件であり、将来を見据えたビジョンを計画的に進捗させている事が重要なのである。
では将来を見据えたビジョンをどのように構築すべきなのだろうか。
ここが経営者が頭を抱えることであり、それが出来れば苦労はしないだろう。
これは、まず、時代背景をしっかりと認識する事から始まるのではないだろうか。
先日、nanapiがKDDIに売却された。
外部リンク:なぜ僕は、nanapiをKDDIに売ったのか
——なぜ、nanapiを売却しようと思ったのですか?
今のnanapiに、停滞感を感じていたからだ。現在、nanapiのユニークユーザーは約2200万人、単月黒字も出している。現在のサービスを続けていても、持続性はあると考えている。だが、3年後を見据えた時にひとつのコンテンツメーカーに埋もれているだろうという危機感があった。だがら、ここで「大きな勝負」、世の中にインパクトを与えることのできるような段階に進みたいと思ったのが大きな理由だ。
そう、勢いのある企業においても3年後というのは見えなくなってきてしまうのである。
特に、日進月歩であるIT業界においては、新しい技術やサービスがめまぐるしく変化していき、新しいものがすぐに古いものとなってしまうという世界であり、経営においては合併なり、別事業を行うなり新たな道を模索していかなくてはならない。
これも経営者のビジョンであり、判断力と言える。
しかし、現状のポジションに固執して何も進展が出来なかった場合は、まず間違いなく存在価値は無くなり、淘汰されてしまうだろう。
しかし、新たな事を始めるなどと言う事は、それなりの知識を身に付けなければならず、人脈も必要であり、そこに事業をフィットさせる柔軟さと十分な計画が無ければならない。
ここは経営者がどんなにがんばっても、相当な頭脳のキレを見せなければできないものだろう。
だから、社員教育は必要なのだ。
社員が新しい事を身につけていく環境を確保する事で、出来るようになる事もある。
従業員を育てる。
これは家族として考えた場合、子供が育つのと同じ考えである。
頼もしい従業員となってもらう為に、時間を確保し、夢を提供しなければならない。
負のスパイラルなのであれば、一旦はそれを止めなければならない。
昇給が出来なくなる。または給料を減らしてしまう事もあるのかもしれない。
しかし、時間を確保出来れば、従業員は切り替えてモチベーションを上げる事は可能であろう。
正のスパイラルへ向かう為には、まずは将来のビジョンをもっと具体的にして従業員としっかりスクラムを組む事を考えるべきだと思う。